過敏性腸症候群(IBS)の精神症状のいろいろ

過敏性腸症候群(IBS)の精神症状のいろいろ

精神的な症状にもさまざまなタイプがある

過敏性腸症候群(IBS)の背景には自覚していない場合も含め、さまざまなストレスが潜んでいることが多いものです。
 
このため過敏性腸症候群(IBS)の人の多くに、便通異常や腹痛などの症状の他に、何らかの精神的な症状を伴っている例が見られます。
 
精神的な症状は、身体的な症状の原因になっていることもあれば、結果として起こっている例もあり、中にはどちらが原因か結果か、はっきり判別しにくい場合もあります。
 
しかも、その症状は人によって異なり、それによって心理療法や薬の使い方なども異なってきます。
 
次に、よく見られる精神症状を説明します。
 
 

不安、緊張型

・ 不安、緊張型
 
下痢や腹痛などの症状の背景に何らかの不安や緊張が潜んでいるタイプです。
 
例えば、ある会社員は、職場の異動後に会社に行こうとした時に腹痛と便意を催し下痢になってしまいました。
 
排便とするとスッキリしたので電車に乗りましたが、また便意と腹痛が起こり、途中下車して用を足しました。
 
それ以来、通勤電車に乗ると同じ症状が起こり、やがて電車に乗るとトイレに行きたくなるのではないか、という不安を感じるようになりました。
 
こうした不安を予期不安といい、この不安感が新しいストレスとなって、大腸のわずかな動きまで痛みとして感じ、それに伴って消化管運動が激しくなり下痢を起こしてしまうのです。
 

 

過敏性腸症候群(IBS)の精神症状のいろいろ

やがて途中下車をする駅が一か所ではすまなくなり、各駅停車の電車にしか乗れなくなったり、会社にいけなくなってしまう例も見られます。
 
ある中学生は試験の時に緊張して腹部の張りと腹痛を感じ、おならが出そうになって冷や汗が出るほどつらい思いをしたことがあります。
 
それ以来、普段はなんともないのに、緊張したり、緊張するとまずいと思った途端に腹部の張りや腹痛を感じるようになり、ガスをこらえるのに精一杯で、授業が身に入らなくなり苦痛に感じるようになりました。
 
試験の時などは、開始時間の前に幾度もトイレに行きますが、やはり途中で腹痛が起こり退室することが多くなりました。
 
 
 
こうした不安、緊張型の過敏性腸症候群(IBS)は、普段はそれほどストレスを抱えていない人でも起こることがあります。
 
いつもと違う心理的な負担がかかったり、プレッシャーが大きくなった時に症状が起こるということがあります。
 
また、もともと胃腸を壊しやすかったり、体調の変化に敏感な人にも多く見られます。
 

 

過剰適応型

・ 過剰適応型
 
いわゆる「よい子」や優等生、社会人では真面目で頑張るタイプでは、周囲の期待を裏切らないように懸命に適応しようとして、体が追いつかず、限界を超えたサインとして便通異常や腹部の症状が現れる場合もあります。
 
こうしたタイプは、普段他人から褒められたり尊敬される、あるいは期待を一身に集めている人にも多く見られます。
 
本人はプレッシャーをストレスと感じずに頑張るのですが、その頑張りが身体症状として出てしまうのです。
 
 

過敏性腸症候群(IBS)の精神症状のいろいろ

 
例えば、時間を惜しんで働き続け、ある日、トイレに行くタイミングを失って会議に出席し、お腹が痛くなってトイレに駆け込まざるを得なかったという人がいます。
 
それ以来、会議のある日は緊張しているつもりはなくても、お腹が張ったりトイレに行きたくなったりして仕事に支障をきたすようになりました。
 

 

 
 
 
 
 

過敏性腸症候群(IBS)の精神症状のいろいろ

こうした過敏性腸症候群(IBS)の人に普段の様子をじっくり聞いてみると、以前よりストレスが大きくなっている状態なのに、それに気づかずに頑張っているという例もよく見られます。
 
クラス替えをしたが、今までの成績を落としたくない、仕事がきつくなってきたがペースを落としたくない、あるいは人間関係でギクシャクすることが起こってきたなど、人によってはストレスに感じることが起こっている場合もあります。
 
多少は負担を感じながらも、まだ大丈夫と自分で思い込み、頑張ってしまっている例も見られます。
 
 
 
やがて、便通の異常や腹部の症状が頻繁に起こるようになり、次第に遅刻が多くなったり学校や会社を休みがちになってしまうこともあります。
 
そのために周囲から変に見られていると感じ、それが苦痛で精神的に落ち込み、ゆううつ状態になってしまう例もあります。
 

抑うつ型

・ 抑うつ型
 
抑うつ型はうつ状態が原因で身体的な症状が起こる場合と、はじめは何でもなかったのが何らかのきっかけで身体的な症状が起こるようになり、それが原因で憂うつになる場合があります。
 
過敏性腸症候群(IBS)の人の中には、薬や食事などを工夫して便通異常やお腹の症状が良くなると、うつ的な気分から開放される人もいますが、落ち込み方が激しかったり、さまざまなストレスが関係している場合には、一般的な治療を受けてもなかなか功を奏さない場合も少なくありません。
 
薬を使ってもうまくいかない、食べたいものを我慢しても良くならないといったことが続くと、いっそう落ち込んで悩んでしまい、症状を長引かせてしまう例も多く見られます。
 
 
 
抑うつ型は、高齢者でもみられ、その背景には身体的な機能の低下、仕事や地位の喪失、社会的な孤立などがあって、便秘などの体の症状に関心が集中してしまう例も見られます。
 
 
 
引越しうつ病や更年期うつ病、昇進うつ病などでも過敏性腸症候群(IBS)の症状がみられることがあります。

 
 
 

過敏性腸症候群(IBS)の精神症状のいろいろ

抑うつ型では、腹部症状だけでなく、不眠や倦怠感、食欲不振、集中力の低下などを自覚するようになります。
 
 
もっと進んでしまうと意欲や好奇心といったものも減退し、下痢や便秘といった身体症状だけが関心の対象になる場合もあります。
 
 

特定の状況で起こるタイプ、いつでも起こるタイプ

・ 特定の状況で起こるタイプ、いつでも起こるタイプ
 
過敏性腸症候群(IBS)の症状は、学校や会社に行く前や電車の中、会議や授業中など特定の状況に限って起こる場合と、日常生活のさまざまな場面でみられる場合があります。
 
 

 

過敏性腸症候群(IBS)の精神症状のいろいろ

初期の段階では特定の状況に限って起こる場合が多く見られます。

 

例えば、子供が学校にいく日の朝は激しい下痢をするが、休日にはそのような症状が出ないということがあります。
 
 
 

 

登校日だけお腹が痛いというので、怠けているとか学校嫌いと誤解されることもありますが、本人は登校したいのにできない、結果として不登校になってしまうということもあるのです。
 
 
 
女性は便秘がちの人も多いのですが、ある女子中学生は授業中にお腹がゴロゴロなったり、おならをして恥ずかしい思いをしたことから、学校へ行きにくくなったという例もあります。
 
 
 
電車の中などでトイレに行きたくなるタイプでは、各駅停車の電車には乗れるが急行には乗れないといった人もいます。
 
トイレが間に合わないと困るという不安感のために、初めは急行電車に乗れなかった人が、そのうち長距離ドライブにも出かけられなくなるという例もあります。
 
一人で行動しているときにはなんともないのに、長時間にわたって集団行動しなければならない場面になると、いつ便意が起きるかわからないという予期不安に駆られます。
 
そうなると、卒業式、結婚式に参加するのも怖くなってしまいます。
 

 
 
過敏性腸症候群(IBS)の人の中には、一端下痢の症状が起こってからというもの、いつものお腹のことが気になって困るという人もいます。
 
そして切羽詰まった状態でなくても下痢が起こるという人もいます。
 
症状がいつ起こるかわからないため、外出しにくくなったり、他人との付き合いが苦手になってしまう人もいます。
 
 
 
便秘型でいつもお腹が張った感じの場合では、食欲がなくなるという人もいます。
 
食事量が減ると便の量も減りがちになりますが、そのことを理由に気に病んで落ち込む人もいます。
 

 

過敏性腸症候群(IBS)の精神症状のいろいろ

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